ivataxiのブログ

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軍国バー

夢である。どうしてこんなことになってしまったのか。どこかの企業なのか国家なのかに働いている。働いているといっても今日は何をどう働いたのか、誰と会って何を事務処理したのか覚えていない。顔を覚えていない上司が何枚かはんこを押した紙をくれた。何かの配給の紙らしい。長い紙を引っ詰めてポニーテールにした眼鏡女子が部下らしく「今日は飲みましょう」と誘われた。会社は電車の駅の前。目の前にバーがある。「No.1」と書かれた灰色の厚い鉄の扉だが、手では開かない。自動で上下に開閉する。丁度、戦車が一台出てきそうな無骨な扉だが、さすがに銃痕はない。「No.1は辞めときましょう」と女子がいう。おなじ間隔で、同じ扉のバーが並び、扉にナンバーが打ってあるだけの殺風景さ。ぼくはどんな服を着ているのだろう。女子の服装からして殺風景な服だろう。スーツなのか制服なのかわからない。少しひょろっとした目立たない眼鏡の男だ。「No.5」に入る。演技が良さそうだ。カウンターの自分と、女子しか見えない薄暗さ。人は確かにいるのだが、良くわからない。メモリが打ってあるビーカーに既に割ってある透明な液体が出てくる。これと決まっているようだ。ワンコイン。たぶん500円玉なのだろう。金属のお皿にコインを入れるたびにお替りがビーカーに定位置に置かれる。何もしゃべらないが一応人間の手でそこに置かれる。カウンターの中の人の顔が見えない。さっき上司からもらった配給の紙も使える。「久しぶりなんでしょう?」と、女子に聞かれた。この女子とは仕事だけの関係なのだろうか?たぶんこの女子は独身らしく、ぼくは既婚のようだが。「5年飲んでない。記憶が消えるんだ」とぼくが答える。「その方が良いですよ」と、色気のない縦ジワで女子は答えた。電車を乗り過ごすと帰るすべがないようだ。店を出ると、何かを恐れるように電車に向かう。殺風景な鉄の閉まった扉が同じ形に並ぶ通りを足早に抜ける。殺戮が起こりそうなピリピリとした追われるような恐れを背中に感じながら電車に向かう。同じような鉄の扉にはホテルもあるのかも知れないが、誰も足早に走り抜ける。いつ、どうして「軍国主義」に突入してしまったのだろう。