銀色のペーパーナイフ

銀色のペーパーナイフをもらったのは20年くらい前だった。どこかヨーロッパのお土産だったようだ。ぼくの趣味の一つはカッティングボードとスチール定規で紙をA4・B5サイズに切り揃えること。アバウトにヘーパーナイフで紙を切ることはないから、使わないので置いてあった。大きなガラスのコップにカッター・ボールペンなどと一緒に置いてあった。ペーパーナイフをくれたのは同じ年の生まれの人だ。ぼくは引っ越してここに住んでいるから、同じ年でも「同級生」という人はいない。でも、年が同じだと何だかわかったような気にもなる。ペーパーナイフをお土産でくれた頃の彼は順風満帆だった。でも最近亡くなったと聞く。家族は死因を伝えないし・・・想像してしまう。たった20年間で色んなことがあったのだろう。ぼくだっていろんなことはあるんだけど、何となく生き続けている。