ivataxiのブログ

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鹿にエサをあげている白黒写真

「一人の小学校2年生の男の子が鹿にエサをあげている白黒写真」といっても既に手元にはない。23年前亡くなったオヤジが撮った写真を以前見たことがある。小学校2年生の男の子は昔のぼくだ。小学校1年の秋に足に痛みを感じ冬に二度手術をした。1年から2年の間は小児病棟だった。他の子はみんな立っているが一人草原に足を投げ出して座っている所に鹿が餌を食べに寄っている。左足には腰からつま先まで金属と牛皮のコルセットがついている。股関節の手術をしたので小学校5年生までは運動禁止の初年度だ。「みんなが遠足に行くのにぼくは一人見送った・・ランドセルが重かった」という作文を読んで、オヤジはぼくをおぶって奈良の遠足について行ってくれた。大仏の鼻の穴と同じ大きさの柱の穴をくぐった記憶はある。小学生の群れに混じり大人はオヤジ一人だった。亡くなる少し前、脳腫瘍の手術を数回受けたあとのオヤジはウソがつけなくなっていた。「あの時はホンマにしんどかったでぇ~」と、心から辛かったといっていた。ぼくはそろそろオヤジがそう語った時の年齢に近づいた。父親の気持ち・・・それなりに理解できる年だが、そんなに深い親心にはなかなかなれそうもない。