ivataxiのブログ

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タンメン

18才の時には新丸子の目黒高校ラグビー部合宿所の住み込み飯炊きバイトをしていた。夏休みになると学生も実家に帰るから飯炊きのバイトはない。通っていた溝の口の多摩芸術学園から田園都市線の次の駅・高津まで歩く大通りがあり、そのほぼ真中の長崎屋がある辺りに「高津苑」という当時のごく普通のラーメン屋で夏休み最初の一ヶ月をバイトさせてもらった。毎日カウンターの同じ席に腰掛けて「タンメン」を美味しそうに食べる小太り中年の男性がいて、その食べっぷりの幸福そうな表情でぼくも食べたいと思った。普通の塩ラーメンのトッピングが野菜炒めかモヤシ炒めみたいなのが乗っかっている。値段もラーメンより少し高いが毎日食べれる金額だ。一ヶ月のバイトを終えて、翌年、合宿所に後釜がいきなり来て追い出された。上野毛に引越し専門学校を秋に中退しさらに翌年東海大学に通うことになる。2000年に久々、高津に立ち寄った。もう、その店は無く、そこに大きな中華料理店ができていた。オーナーや職人さんが同じかどうかはわからないが入らずに帰った。新丸子の合宿所もそのままあったが誰も住んでいなかった。昨日「ラーメン屋で飲み会をやりたい」という物だから男三人で「男子会」をやった。「女子会」は花のような芳しいイメージがあるが「男子会」は汗臭い・加齢臭漂う下品な印象があり、まさにその通りだとも思う。紙に手書きの古びたメニュー(お品書き?)の中に「タンメン」の文字を見つけた。「ワンタンメン」「五目そば」ならどこにもあるが「タンメン」はこのエリアに来て初めて見た。すかさず注文した。塩気が強くもっと出汁で勝負して欲しかったが懐かしい。18才の記憶にまで心象風景がワープした。