ivataxiのブログ

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停電ロウソク

今回「台風19号」は、相当大きいらしい。すでに関東などで停電もあるようだ。昭和33年頃の大型台風を想起させるようだ。その頃、ぼくは三輪車をこいでいた。階段下の土間のような場所で、子供には広く感じた。そこは現在の新大阪あたり。二階建ての木造の長屋だった。大人たちは「屋根が飛ぶ」とかいっていた。階段の下まで水が入っていた。床下浸水という奴だ。ぼくは三輪車が水でこぎにくいと思った。汲み取り式便所は水没していたから、その水は臭い汚水だった。ぼくらは二階の六畳一間に家族三人で住んでいた。(のちに弟が生まれるのだが)停電になって、明かりは「ロウソク」だけだった。懐中電灯は、時折、細かいところを照らすだけ。ロウソクの光は弱くゆらめく。ゆらめく弱い光は、部屋中を揺らめいて感じさせた。狭い一間は、薄暗くどこまでも外の暗闇へグラデーションでつながっているようでもあった。フトンに入って、いつ停電が終わるのかうわからないまま眠ってしまった。なんだかそんなことを思い出す。