ivataxiのブログ

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紙コップ

寝ているとカナシバリにあった。よくあることだ。しばらくすれば直るだろう。だが、相変わらず動けない。窓の外に、明かりが見える。朝だろうか。いや、まだ早い。光は段々強くなり、家の近くで止まった。3人ほどの小さな人影がベッドの横にいた。どうやって?いつのまに?こちらを物のように見つめ、互いに会話するような無音のコミュニケーションをしている。こちらはカナシバリのままだから目だけ動かせても話すことはできない。「なんだオマエラ?」と、心で話した。すると、こちらを見た一体。大きな目で黒目だけ。まばたきはしない。「なんだ、話せるのか?」と、心に直接話して来た。「知るか。なんで人の部屋に入って来たんだ」と問う。「人類のレベルの知性では理解できないだろう」。体は指一本触れないのに浮いてしまった。「どこへ連れて行くんだ」と聞くと「知らない方が幸せだ」という。「何でオレなんだ」と聞くと「コンビニで紙コップのコーヒーを飲んだだろう」という。「それがどうした」というと「遺伝子検査をさせてもらった」という。人類より知性の高いイキモノならばそのくらいの科学力はあるのかもしれない。体は壁を通り抜けた。外にやはり光る物体が浮いていた。そこに吸い込まれて、中には意外に広い空間があった。あいかわらず体が動かない。きっと、格闘すれば勝てそうなのだが、人間が猛獣に睡眠薬を打ってから捕獲するのにも似ている。MRIとかCTスキャンみたいな機械がある。これでオレの何かがわかるらしい。「命は助けてやる。だが、記憶は失うからあしからず」という。「オレは遺伝子が変なのか?」というと「そうだね。珍しいよ。人類と我々の中間のような感じだ」という。だから、オレはこいつらと話せるのか?「以前、UFOにさらわれたことはないかな?その後、傷が残っていたとか、インプラントがあったとか?」という「知るか」というと「そういうことも調べさせてもらうよ」という。「我々以外にも先に地球に調査に来た生命体があるのかどうか。それが問題だ」という。こっちの希望は何も聞かないつもりだ。「もし、インプラントとかいうのがあったら、取ってくれ」というと「そのつもりだ」という。機械に入ると、体の分子がバラバラにされて事細かに、調べつくされたという感じがした。気づくとベッドの上だった。いつもより早い目覚め。まだ、目覚ましが鳴る前だ。頭の奥に違和感がある。昨日、深酒をしただろうか?「あれ、何も思い出せない」。まあ、たいした日常じゃないからいいのだが。ヒザに小さな傷があった。「蚊かな?」そんな季節でもない。