ivataxiのブログ

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夏期講習

代ゼミ」(よぜみ)というとアブラゼミ・ミンミンゼミの仲間だろうと誰しも思う。でも「代々木ゼミ」(最初、ダイダイモクゼミと読んでいたがヨヨギゼミだ)の省略形で東京ではこれでわかる。「デザインで大学に行こう」と、思ったのは高校3年生の春。大阪の高校のクラスの男子の一人が「一緒にこの夏東京のゼミで勉強しよう」というので「うん」という展開に。中学時代早く働きたかったから「ぼくは中卒で働く」といっていた。先生・両親とも反対。とりあえず高校に行った。クラブをしに行っていたが、クラブが面白くなくなり、2年の終わりで辞める。春休みは近くのレストランのウエイターバイト。なのでお金はあった。主要五教科はまるでダメ。体育は背が足りない。音楽は中学の声変わりで諦めた。よって消去法で美術に進むことになる。大阪・京都の大学進学ならば大阪の予備校が良い。彼の「東京」という提案を信じて、先生に相談し「君はあんまり才能ないからついて行けないといけないから代ゼミにし」と、どんどん事務処理が進んだ。でも提案してくれたクラスの男子は「その約束」をすっかり忘れていたので一人で行くことになった。母の三人の東京近辺の弟に頼んで、花小金井のオジのところに世話になった。石膏は三角柱・円錐・立方体位しか描いたことがなかった。B2のケント紙を張ったパネルは大きく、石膏像のどこから描いて良いかわからない。マンガは描いていたから形は取れそう。好きな目と眉から描いてどんどん一気に描いた。形は似ていたと思う。好評では他の人のデッサンと比べて酷評だった。でも野菜をカゴに入れた静物画はB3の少し小さい紙にはみ出しながら紙も破れる勢いで描いた。実際、紙からはみ出したが先生は「良い」という。何だか良くわからない。東京の浪人生の一人が東京を案内してくれていて「いい人だな」と思っていた。ゼミ最後の日に、電車のドアが閉まる瞬間「この田舎者が、誰が好き好んで付き合うもんか」と、毒づいた。若者の心の闇なのか、都会の人はすべてそうなのかはわからないが「関東に住むならある程度心にバリアーが必要かも?」とも思った。