ivataxiのブログ

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ギターをくれた女の子

中学で近くの団地だった女の子がギターをくれた。お母さんと一緒にギターを持って来てくれたが、彼女はお母さんの後ろに隠れて話はしなかった。同じクラスではなかったと思う。一年の時に入ったバレー部が夏休み前に解散して、同じ顧問が教えるバスケに一年の終わりまで吸収合併されたのだが、彼女はバスケ部だった。スタイルが良く背も高いし、勉強もできて顔も表情が少し冷たい美人だった。ぼくとは住む場所が違う感じがしていて、例えこちらが「好き」といっても鼻であしらわれそうに思っていた。バスケは男女があまり交流がなく、互いの練習は見えるのだが一緒に何かしたり帰ったりということはなかった。ギターをくれた女の子は同じ高校に進学した。成績が良いのにどうしたのだろう?と思った。入学してあまり見なくなったのだが、クラスが違うからかなと思った。ある時、彼女のお母さんは一人でぼくの団地のドアを叩いた。ぼくの母と話をしているのを後ろで聞いた。全部は聞き取れなかったのだが、話をつなげると「彼女は長く入院していたが、病気を苦にして自殺を選んだ」ということだった。男女のことにはかなり奥手の方だったぼくは「ギターをくれたこと」も、ただ貰えて嬉しいということと、過分な贈り物に戸惑っただけだった。何度も引越しをしてそのギターは今はない。今はお盆だからか、深夜に目覚めて何だか思い出してしまったのだ。