ivataxiのブログ

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ズレた記憶

40才の時に中学の同窓会に行った。まだ結婚していない人、結婚した人、別れた人、二回目の人、孫がいる人・・イロイロいた。「あんたなんかおれへんかった」とか「君のこと覚えてない」と、良くいわれた。だが、逆にぼくは相手を良く覚えていて「中学の時まで赤ちゃん言葉だったね」とか「背が高いけど坊ちゃん刈りだったね」とか、的はずれな記憶力が逆効果になった。中学の時には小さくて目立たなかった男子が少し背が高く立派な身なりになっていた。彼の名前をいうことができた人はこの会場には希少価値だったようだ。会社で偉くなったようで、子供の時にはわからない能力が評価されたようだった。メガネで胸がペチャンコだった女の子が、二重でコンタクト・胸も大きくなって威張っている。さすがに性転換手術した人はいなかった。学校の先生になった人も多く「前髪をゴムで止めて、ベストのポケットに手を突っ込むクセかあったね」と、子供にいうみたいな話になって不思議な感じだった。良く世話を焼いてくれた男子が教育委員会に行っていたり、勉強ができなかった男の子が体育の先生で立派な自信のある表情に変わっていた。同窓会に来ない人にはそれなりの事情がある。行きたくないというだけではない。同じ塾に行っていて、先生から借りた本のページを切り離して破門された男子が、大学でアメフトで芽が出たとか・・何しろどうでもイイ記憶が的はずれな会話を生む。ぼくはその日風邪を引き早く帰った。以来、中学に同窓会には出席していない。