ivataxiのブログ

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あかすり

お風呂であかすりを使っているのは内緒だ。小学校の二年生で団地住まいとなり、お風呂がなくて銭湯に通う。子どもの頃は皮膚が柔らかいからかタオルで洗って丁度良かった。でも大人は不思議なことをする。ヘチマという植物の実の乾燥した物で体を洗う。「ヘチマコロン」という化粧水もあった頃でヘチマというのは日本人の多くが知る植物だっただろう。ゴーヤの一種のような形で、あまり食べる人はいなくて、中を乾燥させて体を洗う用途が一般的だったのだと思う。ゴーヤのように食べるという話も聞いたがどうなのだろう。夏の化粧をする防水タイプのファンデーションは「パンケーキ」というおいしそうな呼び名だったりする。それを水でこすり取るのはカイメンだ。今では希少なので、カイメンでパンケーキを使うという昭和のあたりまえ風習は失われた。同じようにヘチマで体を洗う人も少ない。でもあかすりは今も存在するだろう。タオル状でザラザラしていていかにも垢が取れそうな浴用必携商品だ。ヘチマのように植物ではなく合成繊維でできていたが、皮膚が黒化するとかブツブツになるとか敏感な人の為に、自然素材に変わったようだ。今ではこのあかすりで洗わないと洗った気分にならない老人たちの一人となった。新陳代謝が少ないのだからそんなにゴシゴシ洗わなくても垢は子供みたいには出ないのだが、気分の問題なのだ。新陳代謝は止まっていても皮膚の表面が植物のクチクラ化のように固くなっているからあかすりの刺激がちょうどいいのかも知れない。