ivataxiのブログ

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喜多方ラーメン

1999年2月・・といえば「アンゴルモアの大王が天空から降り立ち、目に見えない何かを地上に降り注がせて・・」というノストラダムスの予言の数ヶ月前ということになる。最初の仕事が広告代理店のデザイナーだったのだが、長くその分野からは離れていた。コンピューター時代に突入したのだとかで、過去の技も化石化されて、もう戻れない分野となって久しい。だがたまたま当時のOB会で会うことになった、良く一緒に撮影をしていたカメラマンが、インテリアの撮影で受賞したとかで、少し有名になっていたということを知った。当時はアルバイトをたくさんこなしていた時期で「バイトで一緒に喜多方へ来ないか」というので、同行した。カメラマンも受賞したのだが、設計の人もやはり受賞したという物件の撮影で数日喜多方界隈に撮影同行した。設計施工の地元の社長が、彼のクラウンであちこち乗せて行ってくれた。朝食はビジネスホテルだったが、昼と夜は社長が接待してくれた。・・といっても、毎回違うラーメン屋めぐりなのである。ラーメンは嫌いではない。いや、むしろ大好きといって過言ではないし、そんな所にムキになあることもない。はっきりと「喜多方ラーメンはコレだ」という決まりはないようなのだが、何となく共通する所はあるみたいなのだった。チャーシューのこだわり・チヂレ麺などだ。観光化すると、バスが止まれて・電車の駅が近くて・ラーメン屋が密集して・・などなどの条件が必要となる。昼に行列のできている店というのも入ってみたが、地元の人の勧めてくれる店というのは、案外離れた場所だったりもするみたいなのだった。一番印象に残った店というのは、大正時代からの店で夫婦でやっていたのだが、ご主人に先立たれた奥さん一人の店だった。室内にお金をかけていないことは、一目瞭然だし広告なんて打つこともない。なのに、脈々・綿々・麺麺・・と、続く理由は味にある。チャーシューの輪郭は半ばぼやけ、スープと半ば一体化し始めている。麺も画一化したものでなく、茶碗の欠けた所が逆に「ホンモノ感」を彷彿させている。もう、店は閉じている可能性もあるのだが、喜多方に行ったら地元の人に聞いて訪ねてみて欲しい。