ivataxiのブログ

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心ない人々

体から離れて、どのくらい経ったのだろう。「もう、このまま戻らなくても良いかな?」と、どこかで思い始めていた。それまでの世界は、どちらかというとしっとり重く、冷たい・暗い世界だった。だが、乾いた・明るい・暑い世界に変わった。「ダリの絵」のような、シュールな世界で、つじつまが合うような、それでいて、実社会とも違うような風景。そこで、体が戦車になって、ポッカリと、心が空洞になった人に出会う。その人は「今、肉体は地上で戦争をしているが、心を持ったままでは、とても戦争なんてできないから、心だけをここに置いている」のだという。他にも、たくさん心を置いたまま、地上では心無い状態の人々が、いるようだ。この世界は退屈で、すぐにいやになった。少しして、目を開けると、肉体と魂が合体したようだった。イヤイヤをするみたいに、無理やり目を開けた。たくさんのチューブ・電線が体についている。緑色の酸素マスクが、いやな匂いで、すぐにはずした。看護婦さんが、すかさず「まだ、つけていてください」という。少し目を閉じると、また落ちて行きそうだ。家族がいる。疲れて悲しい表情。ずっと意識がなかったようだ。24時間のタイムリミットを少し越えてしまい、医師としても困った状態だったのだとか。