ivataxiのブログ

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魂が体から離れた?

20090821
魂の旅1 二刀流1

「心の旅」は、チューリップの曲。今回は、体から魂(タマノオがついた奴)が離れているあいだのこと。本人の主観は、クリアなのだが、現実世界は、手術が終わり「24時間で意識が回復しないと、植物人間になる可能性が高い」と、医師にいわれたようだ。肉体は「心ここになし」という感じで、いつもとは違うようだった。ともかく、丘の茶屋で休むオレは、二刀流の浪人。見下ろすと、女二人が旅支度で、急いで丘を登るのが見える。少し遅れて、ヤイバの抜き身をギラつかせた、若い侍二人の追っ手。

 

6.24 体から離れた体験・二刀流より

魂の旅2 二刀流2

二刀流ならば、腕に自信はあった。だが、二人の女と、二人の追っ手と、自分の間には、何も関係がなかった。二人の女は身分が高そうだ。「入り鉄砲に出女」という奴だろうか?傘で顔を隠してはいたが、高貴さが匂う。一人の女が、オレの左腕を取り、後ろに隠れた。そして、その後ろにもう一人の姫も隠れた。振り返るが、二人とも顔から下しか見えない。追っ手の一人が、抜き身を振りかざした。自由な右のヤイバでこれは受けた。

 

 

6.24 体から離れた体験・二刀流より

魂の旅3 二刀流3 

どうにか、一つの太刀は止めた。だが、追いついたもう一人のサムライの太刀は防げなかった。おそらく、それでオレは絶命したのだろうか?残された女二人は、どうなった?捕まることはないだろう。あの高貴な仕草。恐らく自害したにちがいない。「なぜオレなんかを頼った?」もしも、輪廻転生・後生というものがあるのなら、会って聞いてみたいものだ。たとえその時には、刀は役に立たなかったとしても。

 

 

6.24「体から離れた体験・二刀流より

魂の旅4 かに 

前世というと、人間だけとも思う。だが、動物だったこともあるのかも?水槽(イケス)には調理されるのを待つ魚たちがいる。その水面のふちに斜めに透明な平たい容器が半分浮かべて斜めになっている。少し水も入っているが、温んでいる。カニが一匹いる。甲羅の大きな、そんなにおいしそうなカニではない。板さんは二人。時折、こっちをにらむ。「次、料理してやっかんな」という表情。足で、斜めになった容器の、水に入らないようにつっぱっている。その水は、腐っている。だが、イケスの魚は、鼻先で容器をしたからツッツクものだから、段々、下がってしまう。「ああ、もうだめだ」。その、腐った水に入ってしまった。

 


魂の旅5 イルカ・クジラ

「三途の川」は、船で渡ると聞いた。これがその川なのかどうなのかはわからない。大きな、海かと思うほどの川の上空から、下を見下ろしている。時代の流れが、超早回しで見てとれた。海のように大きかった川は、次第に小さく・浅くなり、蛇行して草が生えた。一気に水中に落ちる。だが、冷たくもなく、呼吸の心配もない。水の中は明るいプールの中みたいだ。人懐っこいクジラとイルカがたくさん遊んでいる。追いかけっこや、ターンをくりかえす。だが、段々、水も浅くなり、大きなクジラはいなくなる。やがてイルカが数頭残る。そして、誰もいなくなった。水中から空中に飛ぶ。上空から見る川は、現在の川と似た小さな姿。葦が生えた形が、クジラに見えた。「ぼくらのこと、覚えておいてね」と、どこからか声が聞こえた。

 


魂の旅6 クラゲ

水の中なら、ユラユラ泳げる。だが、波打ち際に打ち上げられてしまった。波は、近くまで来るが、体を海へもどしてはくれない。夜になり、夜光虫が光りきれいだ。波はどんどん下がってゆく。朝だ。太陽が強くなり、水分が抜ける。もし、今海に戻れても、たぶん泳ぐ力もないだろう。次に波が来るまでは、もちそうにない。

 

 


魂の旅7 峠のムクロ1

戦国時代より、少し前の衣装を着ている。ワシは母じゃと二人で、この峠に住む。月明かりに母じゃは、峠の切り立ったあたりに立つ。夜霧が、山の高みから降りて、足元が見えない。足元が見えなくとも、母じゃはここで育ったのだから安心している。こんなワシの所に来る嫁もなかろう。いつまでも、母じゃと二人でここで暮らすのだろう。「のう。この世ばかりでは、ないのだろうが」と、大声を出す。母じゃは、答えない。母じゃの姿がない。夜霧に峠の端を見誤ったのか?いや、母じゃは、ここで生まれたのじゃ、そんなことはない

 

 

魂の旅8 峠のムクロ2 

だが、母じゃは消えた。誰もいない月夜に照らされた、夜霧が谷にゆっくりと落ちる峠の端に向かって、もう一度大声で話す。「のう。この世ばかりでは、ないのだろうが」と・・。

 


魂の旅9 峠の集会1

どうしてだか、峠の細い道を下っている。長い険しい道だ。舗装はされておらず「バイクで来れば良かった」と、思う。日本家屋のふすまをブチ抜いた、広間に通された。それにしても広い。だが、だれも来ていない。少し転寝する。目を開けると、薄暗い。少しは人も集まった。見間違いか?江戸の商人の姿の「番頭」と「女将さん」みたいな人が、言い争いをしている。内容までは聞き取れないが、お金のことらしい。まだ、世が明けないというのに、いつの間にか会場は一杯だ。後ろの末席に追いやられていた。みんな若い男の子ばかりで、時代はわからないがイニシエの衣装を着ている。何かが始まる。みんな居住まいを但し、正座で頭を下げる。床の間は、自然の崖が正面になっている。先頭の男は、裃をつけている。彼だけ頭を上げ「カシコミカシコミ・・」と、いっている。隣の男の子に「バイクで来れば良かったね」と、いうが、可笑しな表情をされた。

 

 

魂の旅10 峠の集会2

床の間に、女性的な肢体の男の子が半裸で立っている。クネクネとした動き。頭も剃って、体中にイレズミを入れている。今なら「オネェ~マン」という表現もある。床の間の自然石に飛び出た部分を踊りながら、飛び上がる。サルノコシカケみたいな踊り場で、しばらく踊る。会場の中をイレズミオネェ~マンが、走って外へ出た。今までのオゴソカな雰囲気とは違い、侠気のように会場の人たちは、踊りながらついて、出て行った。一人、ポツンと残った。

 


20090823
魂の旅11 心無い人たち

体から離れて、どのくらい経ったのだろう。「もう、このまま戻らなくても良いかな?」と、どこかで思い始めていた。それまでの世界は、どちらかというとしっとり重く、冷たい・暗い世界だった。だが、乾いた・明るい・暑い世界に変わった。「ダリの絵」のような、シュールな世界で、つじつまが合うような、それでいて、実社会とも違うような風景。そこで、体が戦車になって、ポッカリと、心が空洞になった人に出会う。その人は「今、肉体は地上で戦争をしているが、心を持ったままでは、とても戦争なんてできないから、心だけをここに置いている」のだという。他にも、たくさん心を置いたまま、地上では心無い状態の人々が、いるようだ。この世界は退屈で、すぐにいやになった。少しして、目を開けると、肉体と魂が合体したようだった。イヤイヤをするみたいに、無理やり目を開けた。たくさんのチューブ・電線が体についている。緑色の酸素マスクが、いやな匂いで、すぐにはずした。看護婦さんが、すかさず「まだ、つけていてください」という。少し目を閉じると、また落ちて行きそうだ。家族がいる。疲れて悲しい表情。ずっと意識がなかったようだ。24時間のタイムリミットを少し越えてしまい、医師としても困った状態だったのだとか。