ivataxiのブログ

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カタパン

ぼくがこの町に来て30数年。今も「よその人」と老人から差別されているし祭りも法被を借りた役の年だけしか出ない。駅前開発以前であり、ガチャマン時代以降のまったりとしたバブル前後のあいまいな時期である。郵便局はどこからか移動したのかも知れないが現在の位置しか知らない。その真ん前に伝説のお菓子「カタパン」を売るお店があった。昭和初期のままの店舗のようで大正末期っぽいおじいさんが店をやっていた。開店は朝8時位だったか?ともかくオープン前には行列ができる。うまい具合で目の前の郵便局は開業前の時間なのでクルマを無断
で停めるヤカラはいる。何で行列ができるかというとそのおじいさんは毎日少なめに同じ量だけしかそのカタパンを焼かないのだ。売り切れ終了なのである。品目は「カタパン」「アゲマン」の二種。それが昭和初期のガラスケースに置かれ、売り切れ終了・・という毎日だから、言葉は知っていても食べたことはなかった。まさしく伝説・・・レジェンド・オブ・お菓子。バブルは崩壊しでもまだサリン事件の起きる前の朝の起き抜けみたいなまったりとした日々をダラダラ過ごす頃に、一度意を決してカタパン行列(大名行列みたい)に並んだ。一人でたくさん買う人もあるから、何人目までが買えるかは運次第。ともかくカタパンとアゲマンを購入。四国のお墓参りにお土産で持って行った。本家の長男は、アトピーで食べられない食品が多い。でも、食べても痒くならなかったとイトコである彼の母親から喜ばれた。きっと味は大正・昭和的な庶民のソレなのだとも思う。伝説のそのお店は移転後、今は営業していないと聞く。本当の伝説になってしまうのだろうか?