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桃の花

桃の花

今より子供時代は寒かった。ゲームなんてないから外遊び。手にはアカギレ。どうしてだか細かく泥が乾いた時のようなひび割れができる。「顔にもひび割れが」 「いや、これは目と口ですよ」 。という訳で母は「これ塗り」と薄いピンクのねっとりしたクリームを塗ってくれた。かすかに花のような香りがうれしい。「桃の花」という商品名だったと思う。今でいうハンドクリーム。これを塗ると、アカギレが少し良くなったように思えた。あれから数十年。顔の皮膚も厚く「厚顔無恥」(ひらがなで書くと誤解されやすい)な高齢男子。指先だけヒビワレ。尿素の入ったクリームを使っている。子供の頃はすべてが大きく見え、自分の手は小さかった。人を守れる手になれただろうか?