ivataxiのブログ

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心がはがれた2

数日は現実としての、最悪の肉体的苦痛との対決だ。次第にチューブや機械なども遠ざかるのだが、ベッドには拘束具で固定のまま真上を向いて寝ていた。毎日家族は、少しでも顔を見せて見舞いに来てくれた。だが「明日はどうしても来れない」と、いわれた。その時は「いいよ」と、ものわかりよく答えた。だが、肉体と魂の関係は、ヒザをすりむいた時にムキ出しになる、皮膚の下の部分のように敏感だった。「明日は来ない」という言葉を聞いたあと、肉体から意識が離れた。「意識」というのは、今までは「魂(タマノオのついた)」のことだったのだが、今回は違う。「魂(タマノオのついた)」と、「心(タマノオのついていない)」が、分離して肉体から離れたようだった。(できるだけ、患者さんのお見舞いには行ってあげてね)