ivataxiのブログ

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ラーメン屋バイト

専門学校が溝の口だった。南武線田園都市線が交差する乗り換え駅だ。まだ、当時は地上に駅があったが、現在は空中に高架に合わせた駅で、デパートも駅前に進出したようだ。溝の口から田園都市線で渋谷方面に一駅「高津」まで歩いて行ける通路があった。狭いのに人通りが半端ない。アメ横が神奈川にやって来たみたいだ。ちょど真ん中辺りにある当時の普通のラーメン屋が「高津苑」。「バイト募集」の張り紙で、一年生の夏休み一杯をバイトした。新丸子の住み込み飯炊きバイトは夏休み一杯は仕事がなかったのだ。毎日一つ、値段が高くてもメニューにある品目を片っ端から食べさせてくれた。好きなのは二番目に安い「タンメン」。普通のラーメンの上にしっかり味付けの利いた野菜炒めを乗せただけのシンプルな物。これが好きで同じ時間に同じカウンターの席に座る男性がいて、ある日友人にこれを紹介していたが、気持ちがわかる。今でいう「穴場の店」だったのだろう。「オヤジ」という中国人男性が何軒かお店を取り仕切っていた。もしかしたら働いていたのも中国人だったのかも知れない。ずっと後になって「独特な中国的ハゲ方」というのがあることを知る。若くてもそういうハゲ方をしているスタッフがいた。怖い顔のスタッフたちだが、辞める時に「また来年来いよ」と、いってくれた。後ろ手に横開きの扉を閉めて、のれんを押して涙が出た。