路地裏のトリ
以前は住宅があり、住宅にはさまれた暗い路地だった所は、今、広い道ができて道沿いの大きな屋敷が移転した。裏路地はあからさまになった。その元裏路地を普段から常用している。くねくね曲がって細い道で、周囲は古い民家。けたたましく鳴く鳥が飛び立つ。その辺りを見下ろすと、今しがた行きを引き取ったような鳥の死骸が横たわっている。夫婦の鳥なのだろう。鳥の種類はわからないがカラスではない。広い道沿いならば車と衝突したことも考えられるが、こんな小道では車も入れない。ずっと上空を死骸のつれあいの鳥が心配声で泣きながら飛んでいた。
