ivataxiのブログ

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モチ

大阪の昭和はお餅はどこかで頼んで作ってもらっていたようだ。大きな厚みのある長方形のお餅は、一体何だかわからない物体。それを大きな包丁で粉をまぶしながら切ると口に入る大きさのお餅になる。平たい白い長方形。まだ「七輪」(ななつのタイヤの自動車ではない)という炭火で食べ物を熱する器具。燃料にレンタンというレンコンの輪切りの形の墨が使われた。空調がしっかりしていないと一酸化炭素中毒になるが、当時の家は風通しがヨカッタ。鉄の網を上にかけて、四角いお餅を並べる。「餅は殿様に焼かせろ」という。貧乏なおなかのすいた人はしょっちゅう裏返すが、殿様は鷹揚であんまり裏返さないからだという。(殿様は餅など焼かなくてもいいのだが)白かったお餅の端などが焼けて色が変わる。茶褐色。だんだん膨らんでくるから不思議。「ぷー」っとふくらんで「ぱふ」っと空気が抜ける。中はしっとりモチモチ(お餅だから当然)。ウチでは砂糖としょうゆを混ぜたタレで食べた。おつゆに入れてもお正月らしい。今では切り餅状態真空パックで年中お餅を買える。レンタン七輪金網は必要ない。お皿にラップを敷いて電子レンジで「チン」で完了。でも何かが失われたのかも?