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マッチ・ョ売りの少女

マッチ・ョ売りの少女

年末に街角に目立たない風貌の少女がマッチを売る。誰も見向きもしないが、それを売らないと父親にどやされる。「ドヤサ」と。かわいがってくれた亡くなったおばあちゃんは、マッチの火の中に現れた。「あの流れ星は誰かが亡くなる印」と。火が消えるとおばあちゃんが消える。すべて少女はすってしまう。パチンコじゃなくてマッチを。寒い。街角にはジャグリングの少年、ギター弾きの老人などもいる。みんな投げ銭を受け取るため。少女は普段から粗食で体脂肪率が低い。「プリズントレーニング」と呼ばれる、ウエイトを使わない運動でいつも体を温めていた。腹筋はバキバキのシックスパック。上腕二頭筋大腿四頭筋も大胸筋も、進撃の巨人みたいに人体模型的完成度だった。最後のマッチが消えた。少女は命の火を消した。

かに思えたが、心に火が灯った。

路上のギターとジャグリングと歌に合わせて、鍛えあげられた筋肉を披露した。ポーズが決まる。汗が光る。笑顔が自然に勝利者のような表情。恍惚感。周囲に人だかり。投げ銭・おひねりの嵐。動画投稿再生回数瞬間最高視聴達成。「あの目立たないお顔の筋肉少女は誰?」と誰しも思う。ハリウッドのスカウトは次期バイオハザードターミネーター・などのキャスティングの第一候補に。「マッチ・ョ売りの少女」という仮名。

「おばあちゃん。私、まだこっちの世界でやれそうだから」と、空を見た。あの流れ星は「願いもかなえてくれる星」だったのかも?