ivataxiのブログ

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異人たちとの夏

ネット配信という怪しげな動画で「異人たちとの夏」を見ました。1988から1991年まで賃貸マンションに住んだ時期にテレビで見た記憶があったが、当時はあまり録画とかしなかったから気になってはいても再度見るとは思っていなかった。たぶん近所のレンタル屋さんにはなさそうなマイナー物件。大林監督・風間もりおさん・名取裕子さん・片岡鶴太郎さん・秋吉久美子さんなどが出演。片岡さんがお父さん、秋吉さんがお母さんで、主人公風間さんが12歳の頃、20代と30代の若さで交通事故で亡くなっているが、なぜだか生きて会っているというお話。時はお盆の頃で、迎え火を焚いている横丁の路地を入ってその下町に入る。「キュウリ食べる?」と母から聞かれる。お盆の入りはキュウリを馬に見立てた人形で「亡くなった方々を早くお迎えしたい」と飾る風習がある。転々と職を変えるすし職人のお父さんは「寅さん」とダブル今はいない下町のオヤジさん。原作者の山田太一さんは「あんな太った職人の寿司は食いたくねえ」というので、片岡さんは撮影までに減量したという。マンションの怪しいセクシーな女性は名取さんだが、最初は秋吉さんがその役という話もあったそうで、それもまた良かったかも?母親役の秋吉さんは、主人公とスキンシップしても「親子」の親しさなのである。みんなでランニング・ステテコ・シミーズになって扇風機で花札をするシーンだけはなぜだか鮮明に覚えていた。昔に親子はそんなだった。「息子が40にもなって花札もできないようじゃ」と片岡のオヤジは不憫そうにイカサマのやり方を伝授する。「お前は良くやったよ」と、自分より年下のままの秋吉演ずる母親にいわれる風間。自分もスクリーンに入ってそんな風にいわれたくなった。涙がにじむシーン。今は冬だけど、すっかり異星人たちとの夏を過ごしたお正月。名取さんの正体がわかるシーンだけで当時のお金で500万円かかったというが、今ならもっと安くてすごい特撮ができるのだろうが、それはそれで大林監督はうまく撮っていた。少し「雨月物語」と似た設定。