ivataxiのブログ

絵 文章 映画

手作り広告

遠い昔、広告代理店にいた。入った年にジョンレノンが亡くなり、辞めてすぐに文字が打てるパソコンが導入された。ぼくはカタログにしろチラシにしろ「ここにこんな写真を入れます」というまだ撮れていない写真を空想して描く仕事が多かった。「カンプライター」というジャンル。それをデジタルじゃなくて大きなフィルムの古いカメラで撮影するのにつきあい、仕上がり工程のすべてを人海戦術でチェックして印刷を仕上げるのだった。今ではそれをマックかウインドウズのパソコンを一人で作り上げることが当たり前だ。エジプトのピラミッドを奴隷たちで長年かけて構築する過程に似ている。
マックが印刷業界に与えた変化は「産業革命」ともいえる。業界は再編され、多くの失業者と少ないIT関連の成功者を産む。マックにしろウインドウズにしろ、機械とソフトの入れ替え進化が激しくて、ついて行ける技術・知能・体力・資金力などで命運が分かれた。そしてリーマンショックとITバブルのふるいにかけられた残りわずかが現在の成功者だ。
「国立競技場があちこちのデザインの意匠権を犯してはいないか?」ということが、ネット上に徐々にいわれるようになり、結局、二案が再び提出された。ほぼ同じでどっちでも構わない諦めに似た感情を覚えた。
ミスチルの作詞に酷似している歌の話題も今朝のテレビで見た。
愛はかげろう」と「冬ソナ」ヨン様のドラマの主題歌も酷似している。
マックが広告業界に出て、カンプという仕事は消えた。だって、写真が入る場所にスケッチではなく写真が入っている方がクライアント(お客さん)はわかりやすいじゃないですか。でも「まだ撮っていない写真を想像した図」ではなくて「誰かがすでに撮って発表した写真」をそのまま使うことになるため、クライアントが「この通りに写真を撮って」ということになると「パクリ体質」が増殖することになる。その結果が現在のIT支配下の創造的ジャンルの成れの果てなのかも知れないとも思える。