ivataxiのブログ

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カセット

中学までは自分用のラジオもなかった。レコードについたラジオにはまだFMチューナーがなかった。録音という概念は庶民にはなく、ひたすら良い音源に出会ったら真剣に聞くことしか選択肢はない。オープンデッキのでっかい録音機材は一般向けではなく、小さい「カセット」が出現した時には「2001年宇宙の旅モノリス」に出会った類人猿たちの気持ちだった。ラジオにカセットがくっつくことになったのは「エアチェック」という、ラジオ番組をカセットに録音するという文化の副産物。また、レコードとも共同生活することにより、レコード音源を複製できることになる。重くても何とか持ち運べる大きさになった頃にはFM放送を聞けるようになった。会話はともかく音楽は音質が格段に上品高品質だ。ラジカセ一つは独身生活の必需品の一つだ。ソニーのウオークマン出現辺りから人々は音楽を持ち運ぶ習慣を得た。CDという円盤に世界が淘汰されてアナログのレコード盤文化が終わる。その前後にレンタルという安上がり大量音源聴き比べ術が定着。MDとCDの共生という短い段階を経て、ipodにたくさんのお気に入りを持ち歩くデジタル生活が始まる。CDがコピーしにくくなり、DVDという大容量化は音楽をたくさん入れるというよりもむしろ映像の保存に向いていた。ブルーレイはさらに大容量となり、デジタルの安易なコピーをより困難にした。地デジ化により、放映された映画のコピーは映画関係者の懐をおびやかした。現在、ダウンロードでiphoneなどで音楽を持ち歩く。イヤホンか大型ヘッドフォーンで歩きながら聞くのがおしゃれ?イヤフォンで聞くならそれほど大音量でなくてもいい。ぼくは昔のカセットの音源をスピーカーで聞くのも良いと感じる。アナログは人間が感じない高低音源を体に感じる良さもある。