ivataxiのブログ

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蒲焼き

蒲焼きというのは、きっと動物のカバに由来しているのだろうとおかしく思っていたのだが、どうも植物の蒲と似ているかららしい。蒲の穂が湿地から突き立っている様子が、うなぎの丸焼きの串刺しと似ているからなのだろう。細い棒の先に、フランクフルトが刺さったみたいな蒲の穂は確かにそんな風にも見えるだろう。蒲焼きといっても、現在では丸太ん棒みたいな形ではない。一旦、ウナギを開いて平板な状態で串焼きにしている。その方が少しでも早く火が通るからなのだろうか。それとも、ありのままの形がグロテスクだからなのだろうか。ただ、どこからウナギを裂くのかという問題は残る。関西方面は商業が盛んなので「商人は腹を割らなあかん」と、腹側から裂く腹開きである。一方、関東は武士の流儀で腹を裂くとは縁起が悪いではないかと、背開きと聞いている。ここ湖西市は丁度、日本のヘソ、いわゆる中間に位置する。では「背開きなのか、腹開きなのか、さあさあ・・どうするドウスル?」ということで、問題は無かったことにする。
ウナギの稚魚は浜名湖で調達し、それを吉田町で大きく増やし、沸き水の綺麗な三島で泳がして焼いて出すという話も聞いたこともあるが、三島は蒸して少し油を飛ばしてあり、柔らかさが増し、味は少しタンパクなので、関西風の濃い味に慣れた舌には物足りなかも知れないがどうなのだろう。うなぎは精力がどうの、という話もあるのだが、一度うなぎの肝を猫に食べさせてみたら、飛び上がって壁を横に走ったことがあった。確かに、精力は出るようだ。浜名湖はスッポンの養殖でも有名だから、精力関係を求める男女にはメッカともいえるのかも知れない。そんなツアーもあっても良いのではないだろうか。
余談だが、かつての鷲津駅前のウナギ屋さんは、間口が狭く奥行が長く、本当に「ウナギの寝床」みたいだった。