ivataxiのブログ

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のりこさん 2

お茶美夜間デッサンには二人のノリコさんがいた。漢字は違うが発音が同じだった。
一人は一人暮らしのノリコさん。
神楽坂の近くに二人とも近所で住んでいて、神楽坂に行けば二人とも集まった。
もう一人は、大学生の男の子と同棲しているノリコさんだ。
お子さんは実家に預け、大学生はもうすぐ就職する頃だった。
本人も絵を描く夢があり、しばらく神楽坂暮らしのようだ。
さすがに同棲しているだけあり料理も上手いからついつい長居してしまう。
大学生はフランス語の分厚い本を何冊も抱えて入って来るのだが
品の良い服装と悪い印象を与えないエリートだということはわかったが、印象が少ない。
まだ籍を入れていないので、良くも悪くも緊張感がある。
ぼくが落ち込んでいる時には、家に呼んで御馳走してくれたんだな?と、ずっとあとになってわかった。
大学に入り早稲田の画廊で発表会があった時に、一人暮らしの方のノリコさんはお祝いに来てくれた。
一緒の男性は結婚以外のつながりだったようだが、貧しい当時の印象はなく、
もとより美人だったので光を感じた。女の生き方も一つではないのだ。