ivataxiのブログ

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入院中 窓からの景色

はと
7階だけど鳩はいる。鍵のかかったベランダはめったに人が来ないから鳩たちには安心らしい。「エサをあげないで」という張り紙がある。なのに鳩たちはメタボなのだ。羽根を広げグライダーみたいに降りるのは見たことがある。でも、よくここまで飛んで来たな?という疑問が残ったままなのである。

ビル風はと
太ったハトたちなのに、病院の7階の上下を「ビュンビュン」飛び回っている。不思議だ。どうやら、人間には見えないけれど、高いビルに吹き付ける風の流れは独特で、それをわかっているハトたちには、ヨットやグライダーの名手のように風を捕らえることができるみたいなのだ。だから、太っていても、平地の緩やかに吹く風ではばたく以上に、素早く移動できるみたいなのだった。太った外観にかかわらず、すごい動きのハトを見たら、思い出して欲しい。

深夜の駐車場
深夜の病室は、病室によっては緊迫感が漂う。生命維持装置の音が響く。看護婦さんの走る足音。やがて沈黙が続く。廊下に出てみると「看護婦さんが家族に事務的な手続き」について説明している。病室は窓際のベッドなので、深夜でも駐車場が見下ろせる。さっきの家族だろうか、数台しか残っていない駐車場の車の一台に、肩を落として近づいてゆく。

 

街路灯
病室は7階の窓際にベッドがあるので、深夜に目覚めても、夜景に目が癒される。山並みが迫って来るように見える。自然な山並みが途中から住宅地に切り開いたためか、不自然な傾斜となる。各家庭の電気は消えて、やけに街路灯が目につく。地上からの高さが均等だから、不自然な傾斜が等高線みたいに街路灯の光を結ぶと、デジタルな感じに見えるのだった。